「育休が取れないなら、この給付金は僕らには関係ない話だ」
そう思って、正直半分諦めていました。
転職したばかりで、育休が取れるのはもっと後になってから。産後8週間には間に合わない…
- 転職直後などの事情で、産後8週間以内に育休が取れないパパ
- 「夫が育休を取らないと、妻の給付金は増えない」と思い込んでいる方
- 出生後休業支援給付金の仕組みをシンプルに知りたい方
妻の会社から届いた、意外な連絡
子供が生まれて2週間ほど経ったころ、妻の会社の担当者さんからメールが届きました。
以前「夫は転職直後でしばらく育休が取れない」と伝えていたのに、担当者さんはさらに調べてくれていて、「もしかしたら、出生後休業支援給付金の受給資格があるかもしれません」と、わざわざ知らせてくれたのです。
諦めてたのに、まさかの連絡だったよね
「僕が14日取らないとダメなんですよね?」という誤解
出生後休業支援給付金は、ざっくり言うと「夫婦そろって産後8週間以内に14日以上の育休を取ると、給付率が67%→80%相当に上がる」制度です。
条件を見た瞬間、僕はてっきりこう思いました。
僕が育休を取れるようになったタイミングで、そこから14日取ればいいってことですよね?
でも、これは誤解でした。
支援給付金の対象になる「8週間」は、出産日を基準にした期間です。うちの場合、その8週間はすでに数ヶ月前に終わっていました。もっと後になってから取る僕の育休は、通常の育休給付(67%→50%)の対象にはなっても、この13%の上乗せの対象にはなりません。
つまり「もっと後になってから取る」という選択肢は、そもそもこの制度の枠の外にあったのです。
そもそも「産後パパ育休」とは
出生後休業支援給付金の話の前に、土台となる制度を簡単に整理しておきます。
「産後パパ育休(出生時育児休業)」は、子供が生まれてから8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得できる育休です。通常の育児休業とは別枠で、2回に分けて取ることもできます。
この産後パパ育休(または通常の育休)を夫婦そろって14日以上取得すると、出生後休業支援給付金によって最初の28日間の給付率が67%→80%相当に上がる、という仕組みです。
つまり本来の想定は「夫婦そろって早めに休みを取ってもらうことで、産後の負担を分担してほしい」という制度設計になっています。
少しややこしいのですが、産後パパ育休を取ったときにもらえるお金は「出生時育児休業給付金」、通常の育児休業を取ったときにもらえるお金は「育児休業給付金」と、名前も別々に付いています。今回の主役である出生後休業支援給付金は、このどちらとも別枠で、条件を満たした人に上乗せされる制度です。
「配偶者の育児休業を要件としない場合」という例外
ここで出てきたのが、「配偶者の育児休業を要件としない場合」という例外規定でした。
出生後休業支援給付金の要件は、本来「夫婦そろって14日以上の育休取得」です。ただし、配偶者(僕)側に、育休を取っても給付金を受け取れない事情がある場合は、この条件そのものが免除されます。
うちのケースは、まさにこれでした。転職直後で雇用保険の加入期間が1年に満たず、そもそも僕は育休給付を受け取れる立場ではなかったのです。妻の会社に確認したところ、この「配偶者が育休給付を受け取れない事情」に該当するとのことでした。
パパが取る取らないは関係なくて、「取れない事情」自体が条件になるってことだったんだね
つまり、僕が実際に14日取ろうが、数ヶ月後からしか取れなかろうが、一切取らなかろうが、妻の給付金の受給には影響しませんでした。
必要だったのは、新たに何か書類を作ることではなく、夫(僕)の雇用保険被保険者番号を妻の会社に伝えるだけでした。番号はマイナポータル(雇用保険の加入記録から確認できます)ですぐに分かったので、特別な手間はかかりませんでした。免除される事情は他にもいくつかのパターンがあるので、自分たちがどれに当てはまるかは、妻の勤務先の担当部署やハローワークに直接確認するのが確実です。
この記事を書いている時点では、まだ申請手続きは進行中です。結果が分かり次第、追記する予定です。
世帯収入は、パパが取るかどうかで結果が変わる
支援給付金の数字だけを見ると、「パパが育休を取れば取るほど世帯収入が増えそう」と思う方もいるかもしれません。でも、ここは少し整理が必要です。
僕のように育休0日の場合、パパの収入はそもそも変わりません(普通に働いているので給料は満額のまま)。その状態でママの給付率だけが上がるので、世帯収入は純粋にプラスになります。
一方、パパが実際に育休を取る場合は話が変わります。パパの収入は給料の100%から給付率分(67〜80%)に下がる一方、支援給付金でママの給付率が上がるのは最初の28日間だけ、しかも67%→80%の13ポイント分です。パパの収入の下がり幅の方が大きいケースがほとんどなので、「育休を取れば取るほど世帯収入が増える」わけではなく、その期間はむしろ世帯として減る可能性もあります。
妻の手取り月収は、doda「女性の平均年収ランキング」の2025年データ(30代女性の平均年収393万円)をもとに試算しました。額面から手取りへの目安(月収30万円台なら額面の75〜80%程度とされています※)で計算すると、月25万円前後になります。この金額を基準に試算すると、こんな感じです。
(ここではママ側の給付だけを取り出して試算しています。パパの収入が変わらない、僕のようなケースを前提にした金額です)
| ケース | 支給内容 | 年間合計(目安) |
|---|---|---|
| 支援給付金なし | 1〜6ヶ月目67%・7〜12ヶ月目50% | 約175.5万円 |
| 支援給付金あり | 最初の28日間だけ80%、以降は同上 | 約178.75万円 |
内訳はこうです。支援給付金なしの場合、67%×6ヶ月(25万円×0.67×6=約100.5万円)+50%×6ヶ月(25万円×0.50×6=75万円)で合計約175.5万円。支援給付金ありの場合、最初の28日間(約1ヶ月とみなす)は80%(25万円×0.80×1=20万円)、残り5ヶ月は67%(25万円×0.67×5=約83.75万円)、その後6ヶ月は50%(75万円)で合計約178.75万円です。
差は年間で約3.25万円。上乗せはあくまで最初の28日間だけなので、「劇的に増える」というより「最初の1ヶ月がちょっとお得になる」くらいの認識が正確だと思います。
お金より大事だったこと
給付金の話はここまでですが、「じゃあ育休が取れない僕は、何もできなかったのか」というと、そうではありません。うちがやっていたことを、参考までに書いておきます。
ここまで育休の話をしてきましたが、正直に言うと、僕自身は産後パパ育休を取れていません。ここから書くのは、育休の代わりに個人的にやっていた「在宅勤務でのサポート」の話です。
在宅勤務は、あくまで会社に個人的にお願いして認めてもらったもので、産後パパ育休や出生後休業支援給付金とは制度上まったく関係ありません。もし育休が取れる状況なら、迷わず取った方がいいと思います。
正式な育休が取れないと分かったとき、実は一番不安だったのは僕自身のことより、妻がワンオペになってしまうことでした。
育休が取れないなら、妻を一人にしてしまう。それだけはどうしても避けたかった
そこで、会社に相談して在宅勤務を認めてもらえるよう交渉しました。結果的にこれが通り、正式な育休ではないものの、家にいながら妻をサポートできる体制ができました。
正式な育休は取れなくても、僕は在宅勤務中心で働きながら、
- 沐浴を一緒に入れる
- 日中ぐずったらあやしに行く
- ミルクを作る
- 夜間ミルクをシフト制にして、細切れではなく4〜5時間はまとまって眠れるようにする
といったことをやっていました。
産後は体もボロボロだし、慣れない育児で不安になることも多いから、家にいてくれるだけで安心感が全然違ったよ
在宅勤務は結局のところ仕事をしながらのサポートなので、正直かなりきついです。休めるなら、休んだほうが妻にとっても自分にとっても良いはずです。
産後の体は出産で大きなダメージを受けていると言われており、回復には時間がかかるとされています。お金の話を抜きにしても、産後1ヶ月はできるだけ休ませてあげたいというのが、正式な育休の有無に関わらず僕が一番大事にしたかったことでした。
まとめ
- 出生後休業支援給付金は、夫婦そろって14日以上の育休取得が原則条件
- ただし配偶者(夫)が「雇用保険加入1年未満」などの事情で育休給付を受けられない場合は、この条件が免除される
- 免除されれば、夫が育休を1日も取らなくても妻は受給できる
- ただし「世帯収入が大きく増える」わけではなく、上乗せは最初の28日間だけ
- お金より、在宅サポートで妻を支えられたことの方が価値は大きかった
「うちは関係ない」と諦める前に、ハローワークや配偶者の勤務先に一度確認してみてください。 転職直後などの事情があっても、対象になっているかもしれません。
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※本記事は個人の体験に基づく情報であり、制度の詳細や該当可否は必ずハローワーク等の公式情報でご確認ください。
※投資は元本割れのリスクがあります。投資判断はご自身でお願いします。
参考資料
- 厚生労働省「2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設します」
- 厚生労働省「出生後休業支援給付金 簡易診断」
- 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」(令和7年8月版)
- doda「女性の平均年収ランキング 年齢別・年代別」(2025年データ、30代女性の平均年収393万円を参考に手取り月収を試算)
- ※手取り額の目安についての解説(マイナビエージェント)(額面から手取りへの換算率は年収帯により70〜85%の幅があるとされ、本記事では月収30万円台の目安として75〜80%を採用)